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初心者用語解説:WAFとファイアウォールの違いを徹底比較!セキュリティ対策の基礎知識

最終更新日:Sep 10, 2024

WAFとファイアウォールの違いやそれぞれのメリット・デメリット、導入時のポイントについて詳しく解説します。

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インターネットを利用したビジネスが急速に拡大する中で、企業のウェブサイトやウェブアプリケーションに対するサイバー攻撃のリスクが増大しています。データの漏洩やサービス停止といった深刻な被害を防ぐためには、効果的なセキュリティ対策が不可欠です。

このような背景から、ファイアウォールに加えてWAF(Web Application Firewall)の導入が注目されています。しかし、「WAFとは何か?」「ファイアウォールと何が違うのか?」といった疑問をもっている方も多いでしょう。

そこで本記事では、WAFとファイアウォールの違いやそれぞれのメリット・デメリット、導入時のポイントについて詳しく解説します。

WAFとは?

WAF(Web Application Firewall)は、ウェブアプリケーションを不正なアクセスや攻撃から保護するためのセキュリティ対策です。次に、WAFの定義、ファイアウォールとの違い、そしてWAFの重要性について詳しく説明します。

WAFの定義

WAF(Web Application Firewall)は、ウェブアプリケーションに対する不正なアクセスを防ぐためのセキュリティソリューションです。主にHTTPおよびHTTPSトラフィックを監視・フィルタリングし、攻撃をブロックすることでアプリケーションを保護します。

SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの一般的な攻撃を検出し、リアルタイムで対策を講じることが可能です。これにより、ウェブアプリケーションの安全性を高め、データ漏洩やサービスの停止といったリスクを軽減します。

WAFとファイアウォールの違い

ファイアウォールはネットワーク全体を保護するのに対し、WAFはウェブアプリケーションに焦点を当てて保護します。ファイアウォールは、外部からのアクセスを制御し、ネットワーク内部の資源を守る役割を果たします。

一方で、WAFはアプリケーション層での攻撃を防ぎ、具体的にはSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)などの脅威に対抗するのが特徴です。

なぜWAFが必要なのか?WAFの重要性

WAFは、ウェブアプリケーションの脆弱性を悪用する攻撃からの防御を提供します。特にオンラインビジネスにおいては、顧客データの保護やサービスの信頼性を確保するためにWAFが不可欠です。

例えば、Eコマースサイトでの顧客情報の漏洩や、オンラインバンキングシステムへの不正アクセスを防ぐために、WAFは効果的です。また、コンプライアンスの観点からも、多くの業界でWAFの導入が推奨されており、法規制を遵守するための重要な要素となっています。

WAFの仕組みと種類

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WAF(Web Application Firewall)の仕組みは、多種多様なウェブアプリケーションの脆弱性を防ぐために進化してきました。ここでは、WAFの主要な種類であるネットワーク型WAF、ホスト型WAF、クラウド型WAFの比較や、それぞれの特長について解説します。

ネットワーク型WAF、ホスト型WAF、クラウド型WAFの比較

ネットワーク型WAFは、専用のハードウェアやアプライアンスを使用してネットワーク上に設置されるタイプです。高性能なトラフィック処理能力を持ち、大規模なデータセンターやエンタープライズ環境での使用に適しています。しかし、その分コストが高く、導入や運用には専門知識が必要です。

一方、ホスト型WAFは、ソフトウェアとしてサーバーにインストールされる形で提供されます。特定のアプリケーションやサーバー環境に対してカスタマイズが容易であり、柔軟性が高いのが特徴です。小規模なウェブアプリケーションや特定のニーズに合わせたセキュリティ対策を求める企業に適していますが、サーバーのリソースを消費するため、パフォーマンスへの影響を考慮する必要があります。

クラウド型WAFは、インターネットを介して提供されるサービスで、導入が簡単でコスト効率が高いのが魅力です。多くのクラウドサービスプロバイダーが提供しており、スケーラビリティも優れているため、中小企業から大企業まで幅広い利用が可能です。特に、リモートワークの普及に伴い、クラウドベースのサービスへの依存度が増している現代において、その重要性はさらに高まっています。

ブロックリストと許可リストのWAF

WAFは、トラフィックをフィルタリングする際に、ブロックリストと許可リストの2つの方式を利用します。

ブロックリストWAFは、既知の攻撃パターンや悪意のあるIPアドレスをリストに登録し、それらをブロックすることでセキュリティを強化する方式です。過去の攻撃データを活用するため、迅速に既知の脅威に対処できるという利点があります。

一方、許可リストWAFは、事前に承認されたトラフィックのみを通過させる方式です。未知の攻撃を防ぐことができるため、より高いセキュリティレベルを提供します。しかし、正当なトラフィックを事前に定義する必要があるため、運用には詳細な設定と管理をしていかなければなりません。

また、ブロックリストと許可リストを組み合わせたハイブリッドモデルも存在します。例えば、特定の攻撃パターンをブロックリストで防ぎつつ、許可リストで重要なトラフィックのみを通過させることで、セキュリティと利便性のバランスを図ることが可能です。

WAFの検出モードと防御モードの違い

WAFには、トラフィックを監視する「検出モード」と、実際に攻撃をブロックする「防御モード」の2つの運用モードがあります。

検出モードでは、トラフィックを監視して攻撃を検知し、その情報をログに記録します。このモードは、WAFの導入初期や設定の調整期間に使用され、システムの動作確認やチューニングに役立ちます。

防御モードでは、検出した攻撃をリアルタイムでブロックします。このモードは、システムが安定して動作し、攻撃パターンが明確になった段階で使用されます。防御モードの利点は、即座に攻撃を遮断し、被害を最小限に抑えることができる点です。

新しい環境でWAFを導入する際には、まず検出モードで運用を開始し、適切なチューニングを行うことが推奨されます。その後、防御モードに移行することで、システムの信頼性とセキュリティを確保することができます。この段階的なアプローチにより、誤検知や過剰なブロックを避け、スムーズな導入が可能となります。

WAFのメリット

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WAF(Web Application Firewall)の導入は、ウェブアプリケーションのセキュリティを強化し、さまざまな脅威から保護するために重要です。以下に、WAFの具体的なメリットについて詳しく説明します。

ウェブアプリケーションの保護

WAFは、ウェブアプリケーションへの攻撃を防ぐための強力なセキュリティツールです。特に、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、一般的なウェブアプリケーション攻撃から保護します。これにより、アプリケーションの信頼性とセキュリティが大幅に向上します。

例えば、SQLインジェクションは、データベースに不正な命令を送り込み、機密情報を盗む攻撃手法ですが、WAFはこのような攻撃をリアルタイムで検知してブロックすることが可能です。また、クロスサイトスクリプティングは、悪意のあるスクリプトをユーザーのブラウザに実行させる攻撃ですが、WAFはこの脅威も効果的に防ぎます。

攻撃の迅速な検出と対応

WAFはリアルタイムでトラフィックを監視し、異常な活動を即座に検知して対応できます。この迅速な対応能力により、攻撃による被害を最小限に抑えることが可能です。

例えば、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃のような大量のトラフィックを伴う攻撃が発生した場合でも、WAFはその異常を素早く察知し、適切な防御策を講じます。これにより、ビジネスの継続性が確保され、サービスの停止やデータ漏洩といった重大なリスクを回避できます。

コンプライアンスの確保

多くの業界では、データ保護とセキュリティ対策の実施が法的に求められています。WAFを導入することで、これらの規制に準拠するための強力な手段となるでしょう。

例えば、個人情報保護法(GDPR)や、金融業界の規制(PCI DSS)など、データの安全性を確保するための基準を満たせます。WAFは、これらのコンプライアンス要件に対応するために必要なログ管理やレポート機能を備えており、監査にも対応しやすくなります。

カスタマイズ可能なセキュリティルール

WAFは、企業のニーズに応じてカスタマイズ可能なセキュリティルールを提供します。これにより、特定のビジネス要件に対応したセキュリティ対策を実現できます。

例えば、特定のIPアドレスからのアクセスを許可または拒否するルールや、特定のパラメータを監視するカスタムルールを設定することが可能です。この柔軟性により、企業は自社の環境に最適なセキュリティ対策を導入することができ、リスクをより効果的に管理できます。

また、カスタムルールは、ビジネスの成長や変化に応じて随時更新することができるため、常に最新のセキュリティ状態を維持することが可能です。

WAF導入時のポイント

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WAF(Web Application Firewall)の導入には、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、自社のセキュリティニーズの評価、WAFの種類の選定、導入後の運用とメンテナンスについて詳しく説明します。

自社のセキュリティニーズの評価

まず、自社のセキュリティニーズを正確に評価することが不可欠です。これには、どのような脅威に対して保護が必要かを明確にすることが含まれます。

例えば、ウェブアプリケーションを狙ったSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、特定の攻撃パターンに対する脆弱性を把握する必要があります。また、業界の規制やコンプライアンス要件に準拠するためのセキュリティ対策も考慮しなければなりません。

評価を基に、具体的なセキュリティ要件を定義し、WAF導入の目的と期待される成果を明確にしましょう。これにより、適切なWAFの選定が可能となり、導入後の運用効果を最大限に引き出せます。

WAFの種類の選定

次に、ネットワーク型、ホスト型、クラウド型のWAFから、自社の環境や要件に最適なものを選定しましょう。

ネットワーク型WAFは高いパフォーマンスを提供しますが、初期投資が高額であり、導入に手間がかかることが多いです。

ホスト型WAFは、特定のサーバーやアプリケーションにインストールするタイプで、柔軟性が高く、カスタマイズが容易です。ただし、サーバーリソースを消費するため、パフォーマンスへの影響を考慮する必要があります。

クラウド型WAFは、迅速な導入とスケーラビリティに優れ、コスト効率も高いのが特徴です。特に、リモートワークの普及に伴い、クラウドベースのセキュリティ対策がますます重要となっています。各種のメリットとデメリットを慎重に比較検討し、自社のニーズに最適なWAFを選択することが重要です。

導入後の運用とメンテナンス

WAFの効果を最大限に引き出すためには、導入後の運用と定期的なメンテナンスが欠かせません。まず、WAFの設定やルールの最適化を行い、正確に攻撃を検知しブロックするようにしましょう。

次に、継続的な監視を行い、ログやアラートを定期的に確認して異常を早期に発見することが大切です。また、新たな脅威に対応するために、ルールの更新やシステムのチューニングを随時行う必要があります。

これには、セキュリティチーム内での明確な運用体制を確立し、担当者間での情報共有と迅速な対応が求められます。さらに、定期的なトレーニングを通じてチームのスキルアップを図り、最新のセキュリティ知識を維持することも重要です。こうした継続的な取り組みが、WAFのパフォーマンスを維持し、セキュリティ対策を効果的に機能させるための鍵となります。

WAF製品はアリババクラウドがおすすめ

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アリババクラウドのWAF(Web Application Firewall)は、高度なセキュリティ機能を提供し、ウェブサイトとウェブサーバーを効果的に保護します。最新のAIベースのディープラーニング技術により、ゼロデイ脆弱性を数時間以内に自動検出して防御するのが魅力的です。

さらに、マルチラインおよびマルチノードのディザスターリカバリー機能を備えており、数百万QPS(クエリ毎秒)を処理することで、高可用性と迅速な応答を実現します。GartnerやForresterなどの世界的な権威からも認められており、信頼性が高く評価されています。

企業のセキュリティニーズに応じてカスタマイズ可能であり、コストパフォーマンスにも優れているのが特徴的です。これにより、中小企業から大企業まで幅広い規模の企業が、効果的なセキュリティ対策を手頃な価格で導入できるでしょう。

WAFのデメリット

WAF(Web Application Firewall)は、ウェブアプリケーションのセキュリティを向上させる一方で、いくつかのデメリットも伴います。ここでは最後に、WAFの主なデメリットについて代表的なポイントを、詳細に解説します。具体的に検討する際の参考にしてください。

コストの問題

WAFの導入と運用には、さまざまなコストがかかります。特に、ネットワーク型WAFや高度なホスト型WAFは、初期投資が高額になることが多いです。

専用ハードウェアの購入、インフラ整備、さらには運用管理のための専門知識を持つスタッフの雇用やトレーニングが含まれます。ネットワーク型WAFは物理的な機器を設置する必要があるため、その設置費用や運用コストも無視できません。

クラウド型WAFの場合でも、初期費用は抑えられるものの、月額利用料や追加機能の使用料がかかります。これらの費用は長期的に積み重なり、企業の予算に大きな影響を与える可能性が高いです。

誤検知による業務影響

WAFは、不正なアクセスや攻撃を防ぐために設計されていますが、その一方で正当なトラフィックを誤ってブロックしてしまうことがあります。例えば、顧客がウェブサイトにアクセスできなくなったり、内部システムが正しく動作しなくなったりすることで、ビジネス運営に深刻な支障をきたす可能性があります。

特に、オンラインショッピングサイトや金融サービスなどのウェブアプリケーションにおいては、誤検知によるアクセス制限は直接的な収益損失や顧客満足度の低下を引き起こす可能性が高いです。WAFを導入する際には、誤検知を最小限に抑えるための綿密なチューニングが不可欠です。しかし、チューニング作業自体も専門知識と時間を要し、IT部門やセキュリティチームに負担をかけることになります。

導入と運用の複雑さ

WAFの導入と運用は複雑であり、専門的な知識が求められます。特にオンプレミス型のWAFでは、インストールから設定、定期的なメンテナンスやアップデートまで、多くのリソースが必要です。

導入初期には、適切なネットワーク構成やポリシー設定を行うために、詳細な計画とテストが欠かせません。

また、セキュリティのニーズや攻撃手法の変化に対応するためには、定期的なルールの更新やシステムの調整が必要です。新たな脅威に迅速に対応するための継続的な監視とルールの最適化も欠かせません。

このような運用の複雑さは、内部のIT部門やセキュリティチームに大きな負担を強いることになり、場合によっては外部の専門業者に依頼する必要が生じることもあります。

セキュリティチームの負担増加

WAFの運用には、セキュリティチームの労力が大きく関与します。特に、誤検知の対応やセキュリティルールのチューニングには多くの時間と労力が必要です。

セキュリティチームは、WAFのログやアラートを常に監視し、異常が検出された際には迅速に対応することが求められます。このような継続的な監視と対応は、チームのリソースを消耗させ、他の重要な業務に割く時間を減少させてしまうでしょう。

また、新しい脅威が発生するたびに、セキュリティポリシーの更新やルールの調整が欠かせません。チームは常に最新の情報を把握し、適切な対応を行うための知識を更新し続ける必要があります。

WAFでネットワークセキュリティを強化しよう

WAF(Web Application Firewall)は、ウェブアプリケーションを守るための重要なセキュリティ対策です。ネットワーク型、ホスト型、クラウド型のWAFは、それぞれ異なるメリットと特性を持ち、企業のニーズに応じた選択が可能です。

WAFの導入により、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃を迅速に検出し、防御できます。

アリババクラウドのWAFは、最新のAI技術を活用してゼロデイ脆弱性を自動検出し、高い信頼性とパフォーマンスを提供します。企業は自社のセキュリティニーズを正確に評価し、適切なWAFを選定し、導入後の運用とメンテナンスをしっかりと行うことで、ネットワークセキュリティを大幅に強化可能です。WAFを活用して、セキュリティ対策を強化しましょう。