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初心者用語解説:【エンジニア監修】マルウェアとは?ウイルスの種類や仕組み・特徴

最終更新日:Sep 10, 2024

本記事では、エンジニア監修のもと、マルウェアの概要や特徴について詳しく解説します。具体的なマルウェアの種類や、おすすめのセキュリティサービスも紹介するので、ぜひ最後までご一読ください。

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サイバー攻撃に利用されるマルウェアは、日常生活においてもビジネスの場においても大きな脅威となっています。

しかし、マルウェアの仕組みやそれがどのようにして私たちのシステムに侵入するのか、詳しく理解できていない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、エンジニア監修のもと、マルウェアの概要や特徴について詳しく解説します。具体的なマルウェアの種類や、おすすめのセキュリティサービスも紹介するので、ぜひ最後までご一読ください。

マルウェアとは

マルウェアは、コンピューターやネットワークシステムに故意に害を与える目的で設計されたソフトウェアです。

この悪意あるソフトウェアは、種類によってさまざまな形態をとり、個人情報の盗み出し、システムの破壊、さらには他のコンピューターへの感染拡大など、多岐にわたる害をもたらします。

例えば、キーロガーという種類のマルウェアは、ユーザーがキーボードで入力するすべてのキーストロークを記録し、これを攻撃者に送信することでパスワードやその他の機密情報を盗み出します。

ランサムウェアはユーザーのファイルを暗号化し、解除のための身代金を要求することで、直接的な金銭的損害を与える手法です。

これらのマルウェアは、メールの添付ファイルやダウンロードされたファイル、さらには悪意のあるウェブサイトからのスクリプトを通じて広がるケースが多いです。一度感染するとシステムは不安定になり、重要なデータが失われることもあります。

マルウェアの基本的な形態

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マルウェアにはさまざまな形態があり、それぞれ異なる拡散方法や影響を持っています。具体的には、3つの形態があげられます。

  • 自己複製型:ウイルス

  • 独立型拡散マルウェア:ワーム

  • 偽装型侵入マルウェア:トロイの木馬

それぞれの特徴をみていきましょう。

自己複製型:ウイルス

ウイルス型マルウェアは、他のファイルやプログラムに潜り込んで自らを複製し、感染を広げる能力を持つ特徴があります。

このタイプのマルウェアは、利用者が知らないうちに活動を開始し、電子メールの添付ファイルやダウンロードされたプログラムを介して広がることが多いです。

ウイルスは感染したコンピューターのファイルを破壊するだけでなく、他のシステムへの感染を試みるため、ネットワーク全体に広がっていく可能性があります。感染が進行すると、システムのパフォーマンスが低下し、データの損失やシステムクラッシュを引き起こすこともあります。

ユーザーが定期的にアンチウイルスソフトウェアを更新し、未知の送信元からのファイルのダウンロードを避けることが、このタイプのマルウェアから身を守るためのポイントです。

独立型拡散マルウェア:ワーム

ワームはウイルスと同様に自己複製能力を持つマルウェアですが、ファイルや他のプログラムに依存することなく、独立して動作できるのが特徴です。

ワームは通常、セキュリティの脆弱性を悪用してシステムに侵入し、感染したマシンを使ってさらに多くのマシンへと拡散します。これにより、短時間で大規模なネットワーク障害を引き起こすことが可能です。

ワームによる攻撃は、企業や政府機関の大規模なデータベースへのアクセスを目的とすることもあるため、その影響は非常に深刻です。

適切なセキュリティパッチの適用とシステムの定期的な監視が、ワームの脅威から守るための重要な対策となります。

偽装型侵入マルウェア:トロイの木馬

トロイの木馬は、正規のソフトウェアやファイルに偽装してユーザーのデバイスに侵入するマルウェアです。このタイプの攻撃は、ユーザーが信頼するソースからのものと思わせることで、警戒心を緩めさせます。

トロイの木馬は、一見無害なアプリケーションやファイルとして装いながら、背後で機密情報の盗難や追加の悪意あるソフトウェアのダウンロードを行うことがあります。また、一度侵入するとこれらのマルウェアはシステムの深部に潜み、検出が困難になるケースが多いです。

セキュリティソフトウェアによる定期的な監視と、不審なリンクや未検証のダウンロードから避けることが、トロイの木馬から保護するための効果的な方法です。

マルウェアの主な種類

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マルウェアには、具体的に下記のような種類があります。

  • バックドア

  • スパイウェア

  • ランサムウェア

  • アドウェア

  • スケアウェア

  • ボット

  • キーロガー

  • ファイルレスマルウェア

それぞれ解説します。

バックドア

バックドアは、攻撃者が被害者のシステムに仕込むことで、外部からのアクセスが可能になるマルウェアです。アクセスは、セキュリティ対策が施された正規の手段を迂回して行われるため、通常、ユーザーや管理者の知らない間にシステム制御が奪われます。

攻撃者はこれを利用してデータを盗み出したり、追加の悪意ある活動を行うための足掛かりとして使用することが可能です。

バックドアは、ソフトウェアの更新プロセスや信頼できるアプリケーションを通じて隠れてシステムに組み込まれ、一度設置されると、攻撃者に対して持続的なシステムアクセスを可能にします。

スパイウェア

スパイウェアは、ユーザーの行動を裏側で追跡し、個人情報を収集するマルウェアです。この情報には、クレジットカードの詳細、ログイン情報、ウェブブラウジングの履歴、検索履歴などが含まれることが多く、個人のプライバシーを大きく侵害します。

スパイウェアは、ユーザーが意識しない間にデバイスにインストールされ、情報を収集し続けるため、個人情報を含むさまざまな情報の流出につながる危険性があります。無料ソフトウェアや、偽のソフトウェアアップデートを通じて配布されるケースが多いです。

ランサムウェア

ランサムウェアは、重要なファイルやデータを暗号化し、その解除のために身代金を要求するマルウェアです。この種の攻撃は近年急速に増加しており、大企業、政府機関だけではなく、中小企業に至るまで幅広いターゲットに影響を与えています。

身代金の支払いを促すために、攻撃者は重要なデータの削除や公開を脅迫する手段を取ります。ランサムウェアの感染は、通常、フィッシングメールやセキュリティが不十分なネットワークを介して広がることが多いです。

アドウェア

アドウェアは、ユーザーのデバイスに広告を表示することで収益を生み出すマルウェアです。これにより、不快な広告が頻繁に表示されるほか、ブラウザのホームページや検索エンジンが勝手に変更されることがあります。

アドウェアは無料のソフトウェアダウンロードと一緒に提供され、ユーザーがその存在に気づかないうちにインストールされることが多いです。

スケアウェア

スケアウェアは、ユーザーに虚偽のセキュリティ警告やウイルスの警告を表示し、不安を煽って不要なソフトウェアの購入や個人情報の提供を促すものです。

このマルウェアは、リアルタイムでセキュリティスキャンを偽装し、多数の問題を「検出」することでユーザーを欺きます。

ボット

ボットは自動化されたタスクを実行するマルウェアで、スパムメールの送信、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃、その他の悪意ある活動に利用されます。

多くのボットが組み合わさることで、広範囲のネットワーク、通称ボットネットが形成され、大規模な攻撃が可能になります。

キーロガー

キーロガーは、ユーザーがキーボードで入力したすべてのキーストロークを裏側で記録し、これを外部の攻撃者に送信するマルウェアです。

この情報から、機密性の高いデータ、例えばパスワードやクレジットカードの情報が盗まれるリスクがあります。

ファイルレスマルウェア

ファイルレスマルウェアは、ディスク上に直接ファイルとして存在せず、システムの正規プロセスやメモリ内で直接活動するマルウェアです。

従来のアンチウイルスプログラムでは検出が困難とされています。

しかし、最近ではEDR(Endpoint Detection and Response)の登場により、ファイルレスマルウェアの検出も可能になってきました。そのため、従来のウイルスソフトではなく、EDRの導入を進める企業が多いです。

マルウェアの感染経路と仕組み

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マルウェアは、どのように感染するのでしょうか。ここでは、よく利用される攻撃ごとに、その経路や仕組みについて詳しく解説します。

フィッシング攻撃

フィッシング攻撃は、正規の通信に見せかけたメールやウェブサイトを通じてユーザーから機密情報を詐取する手法です。

攻撃者は、銀行、ソーシャルメディアサイト、またはその他の信頼できる組織からの重要な通知を装い、ユーザーにログイン情報やクレジットカード情報の入力を促します。

これらのメッセージは巧妙に作られており、正規のものと区別がつきにくいことが多いです。ユーザーがリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりすると、マルウェアがデバイスに密かにインストールされ、個人情報の盗難やさらなる悪意のある活動が行われます。このため、ユーザーは不審なメールやリンクには注意深く対処しなければなりません。

マルウェア広告

マルウェア広告は、正規の広告と見分けがつかない形で配信され、ユーザーがこれをクリックするとマルウェアがデバイスにダウンロードされる手法です。

マルウェア広告は、魅力的なバナーやオファーを提示することでユーザーのクリックを誘います。そして、背後ではコンピューターを感染させたり、個人情報を盗み出す目的で設計されているのが特徴です。

広告をブロックするソフトや、信頼できるセキュリティソフトウェアを使用することが、これらの脅威から保護するための一つの方法です。

脆弱性を狙った攻撃

ソフトウェアの脆弱性を悪用する攻撃は、未更新のシステムや古いソフトウェアに存在するセキュリティホールを狙います。攻撃者はこれらの脆弱性を利用して不正なコードを注入し、システムにアクセスします。

この種の攻撃は危険であるため、ソフトウェアとオペレーティングシステムを常に最新の状態に保つことが重要です。セキュリティパッチの適用や定期的なアップデートは、脆弱な状態を解消することができるため、攻撃を防ぐためにも効果的な防御手段の一つです。

標的型攻撃メールによる感染

標的型攻撃メールは、特定の個人や組織を狙ったフィッシング攻撃の一形態です。メールの本文は、説得力のある内容で構成されており、本物のメールと誤解してしまうケースが多くあります。

これらのメールは通常、緊急を要するような情報を含んでおり、受信者が添付ファイルを開いたり、特定のリンクをクリックしたりすることを促すのが特徴です。一度アクションが取られると、マルウェアがシステムに侵入し、感染が始まってしまいます。

標的型攻撃メールは、受信者に特化した内容の文章で構成されているため、あたかも自分宛てに送られてきたメールだと勘違いさせるのが特徴です。そのため、個人や組織はメールに対して高い警戒を保つ必要があります。

アリババクラウドの「セキュリティセンター」でマルウェア対策をしよう

アリババクラウドの「セキュリティセンター」は、企業や個人が直面するサイバーセキュリティの課題に対応するための強力なツールです。

先進のビッグデータ技術とAIを組み合わせた技術により、ランサムウェア、ウイルス、ウェブサイトの改ざんといった多様な脅威からユーザーを保護します。

セキュリティセンターは、250以上の脅威検出モデルを搭載しており、複数のウイルススキャンエンジンがリアルタイムで脅威を識別し、迅速に対応を行います。これにより、企業はリソースをより効率的に活用しつつ、高度な保護を実現できるでしょう。

昨今、セキュリティはサイバー攻撃から身を守り、ビジネスを継続させていくためにも欠かせない要素です。セキュリティを強固にしていくためにも、アリババクラウドのセキュリティセンターを活用していきましょう。

マルウェア感染による影響

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マルウェア対策をしないでいると、どのような影響を受ける可能性があるのでしょうか。マルウェア感染により受ける影響について解説します。

システムパフォーマンスの低下と処理速度の遅延

マルウェアに感染すると、コンピューターの処理速度が顕著に低下することが多いです。

これは、マルウェアがシステムリソースを大量に消費するためであり、CPUやメモリの使用率が異常に高まります。

結果として、正常なアプリケーションの実行が困難になり、プログラムの応答時間が遅くなるだけでなく、システム全体の効率が著しく低下します。ユーザーはアプリケーションの起動が遅れる、ウェブページの読み込みが遅い、文書の保存に時間がかかるなど、日常的な操作においてもこの影響を直接感じることがあるでしょう。

システムの頻繁なクラッシュやフリーズ

マルウェアはシステムファイルを破損させることがあり、これがシステムの不安定化を招きます。さらに、重要なプロセスを妨害したり、必要以上にリソースを消費したりすることで、OS自体の動作が不安定になり、正常なコンピュータの動作が妨げられます。

このような状況は、データの損失や作業の中断に直結し、ユーザーにとって大きな不便とリスクをもたらすことがあるでしょう。

ストレージ空間の減少

マルウェアは自身の複製を生成したり、追加の悪意あるファイルをシステム内に隠したりすることで、ハードドライブの空き容量を意図的に減少させます。

不正なファイルがシステム内部に隠されていると、パフォーマンスの低下を引き起こすだけでなく、重要なデータの保存スペースが不足する問題が生じる可能性が高いため、注意が必要です。

セキュリティ設定の変更や無効化

多くのマルウェアは、感染後にセキュリティ設定を変更したり無効にしたりすることで、防御システムを弱体化させます。これにより、さらなるマルウェア攻撃や他のサイバー攻撃に対するシステムの脆弱性が高まります。

例えば、ファイアウォールやアンチウイルスプログラムが無効にされることがあり、結果的にマルウェアの実行を許してしまう可能性が高いです。セキュリティ設定の変更はユーザーにとって目に見えにくいため、知らず知らずのうちにリスクが増大することになります。

個人情報の漏洩とデータ盗難

スパイウェアやその他のマルウェアは、感染したデバイスから個人情報や機密データを盗み出し、これを外部の攻撃者に送信することがあります。

この種の情報漏洩には、個人の身元情報、金融情報、仕事関連の文書などが含まれることが多く、個人や企業にとって重大なセキュリティ違反となり得ます。

情報が盗まれることで、信用情報の損害、財務的損失、さらには法的な問題に発展するリスクもあるでしょう。

個人ユーザーの銀行口座情報やソーシャルメディアアカウントの乗っ取り

トロイの木馬やキーロガーなどのマルウェアは、ユーザーのログイン情報を盗み出し、これを利用して銀行口座に不正アクセスするか、ソーシャルメディアアカウントを乗っ取ることがあります。

このようなアカウントの乗っ取りは、金銭的な損害にだけではなく、更なる詐欺行為の基点として使用されることも多いです。このため、個人情報の保護と定期的なパスワード変更が欠かせません。

マルウェアの仕組みを理解しよう

マルウェアはその多様な形態と巧妙な感染経路を通じて、日々私たちのデジタル環境に様々なリスクをもたらしています。

これらの脅威は、金銭的な被害だけでなく、個人のプライバシーにも直接的な影響を及ぼし、銀行口座情報の不正利用やソーシャルメディアアカウントの乗っ取りといった具体的な危害を引き起こします。

私たちのデジタル生活を守るためにも、基本的なセキュリティ対策をしていき、より安全なオンライン環境の実現を目指しましょう。より強固なセキュリティ対策を推進していきたい企業の方は、今回紹介したアリババクラウドの「セキュリティセンター」の活用がおすすめです。