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初心者用語解説:【プロ監修】企業のIT資産管理とは?メリット・デメリット・導入ステップ

最終更新日:Sep 10, 2024

本記事では、IT資産管理の基本からその重要性、さらには導入のメリットやデメリットについて詳しく解説します。

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現代の企業が直面する課題の一つに、増え続けるIT資産の管理があります。ハードウェアやソフトウェア、ライセンス、そしてクラウドサービスなど、これらの資産を効果的に管理できないと、企業全体の業務効率が低下し、不要なコストが発生する可能性が高まります。

さらに、IT資産管理を怠ることで、情報漏洩やコンプライアンス違反といったリスクも増大するでしょう。このような状況を避けるためには、企業がどのようにIT資産を管理すべきかを理解し、適切な対策を講じることが必要です。

本記事では、IT資産管理の基本からその重要性、さらには導入のメリットやデメリットについて詳しく解説します。

IT資産管理の概要と基本知識

IT資産管理を理解するためには、基本的な概要と知識を抑えることが重要です。以下では、IT資産やIT資産管理の定義、そして企業における重要性と具体的な管理対象について詳しく説明します。

IT資産・IT資産管理とは?

IT資産とは、企業が保有するハードウェア、ソフトウェア、データなど、IT関連の全てのリソースを指します。具体的には、コンピュータ、サーバー、ネットワーク機器といったハードウェア、アプリケーションやオペレーティングシステムなどのソフトウェア、さらに企業が管理・利用するデータやクラウドストレージが含まれます。

加えて、ITエンジニアといった人的資産や、ITシステムの構築・運用に関するプロセス資産も広義ではIT資産に含まれることがあるでしょう。

一方、IT資産管理とは、これらのIT資産を効率的に管理するためのプロセスを指します。資産の利用状況、ライフサイクル、そしてライセンスの有効期限などを把握し、適切なタイミングで更新やメンテナンスを行うことで、企業の運営効率を最大化することが目的です。

例えば、古くなったハードウェアの適切な更新や、使用していないソフトウェアライセンスの削減など、コスト削減と効率化が期待できます。

企業におけるIT資産管理の重要性

企業にとってIT資産管理は、資産の効率的な運用とコスト削減を実現するために重要です。適切な管理が行われていない場合、不要なハードウェアやソフトウェアが増え、運用コストが無駄に膨らむ可能性があります。また、未管理のライセンスやソフトウェアが法的に問題を引き起こすリスクも考えられるでしょう。

さらに、IT資産管理はセキュリティ対策としても不可欠です。最新のセキュリティパッチが適用されていないシステムや、使用期限を過ぎたソフトウェアは、サイバー攻撃の標的になりやすいです。こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、IT資産の定期的なチェックと更新が欠かせません。IT資産管理は、企業が安全かつ効率的に運営を続けるための基盤となります。

IT資産管理の対象範囲と具体的な項目

IT資産管理の対象は多岐にわたりますが、主な項目としては、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器、これらに関連するライセンスや契約書類などがあります。具体的には、PCやサーバーなどのハードウェア資産、アプリケーションやオペレーティングシステムのソフトウェア資産、ルーターやスイッチといったネットワーク機器、さらにはセキュリティソフトウェアや仮想マシン管理ツールなども含まれます。

これらの資産を管理することで、ライセンスの期限切れや、使用頻度が低い資産の廃棄といった判断が容易です。結果として、企業は無駄なコストを削減し、リソースを有効に活用できるようになります。

また、資産の全体像を把握することで、新たなIT投資が必要かどうかを見極める判断材料にもなります。このように、IT資産管理の徹底は、企業の経営効率を高めるポイントとなるのです。

IT資産管理のメリット

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IT資産管理を実施することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。以下に、その具体的なメリットを解説します。

資産の可視化ができる

IT資産管理を導入することにより、企業内のすべてのIT資産を一元的に把握することが可能になります。可視化により、どの資産がどこで、どのように使用されているのかをリアルタイムで確認できるため、資産の管理が容易です。

資産の利用状況を把握し、必要に応じて適切なリソース配分やリプレイスを行えるため、業務効率の向上にも貢献します。

コスト削減とビジネスパフォーマンスの向上につながる

IT資産の可視化が進むことで、企業は不要な資産を整理し、過剰なライセンスやハードウェアを削減することが可能です。これにより、無駄な支出を減らし、資産の最適な配置転換が実現します。

また、適切な資産管理により、故障やトラブルの発生を未然に防ぐことができるため、業務継続の観点でも良い効果を得られます。結果として、企業全体のコスト効率が向上し、競争力が強化されるのです。

セキュリティリスクの低減と法規制の遵守

IT資産管理は、セキュリティリスクを低減し、法規制の遵守を確保するうえでも大切な要素です。すべてのIT資産が適切に管理されていることで、セキュリティホールを早期に発見し、対策を講じることが容易になります。

また、法的要求事項に沿った資産管理が行われているかどうかを定期的に監査することができるため、コンプライアンスに関するリスクも最小限に抑えることが可能です。これにより、企業は安全で信頼性の高い運営を維持しつつ、法的リスクに対しても万全の体制を整えられます。

IT資産管理のデメリットと考慮すべき課題

IT資産管理には多くのメリットがありますが、一方でデメリットや注意すべき課題も存在します。以下に、導入時のコストや運用負担、既存システムとの統合の難しさ、そして管理が適切に行われなかった場合のリスクについて解説します。

導入コストと運用負担

IT資産管理システムの導入には、初期段階での高額な投資が必要です。システム自体の購入費用だけでなく、インフラ整備や従業員のトレーニング費用もかかります。また、導入後もシステムの維持や更新が必要であり、定期的なコストが発生します。

さらに、システムの管理には専任の担当者が必要となることが多く、そのための人的リソースの確保が必要です。こうした要素が企業にとっての負担となるため、導入前にコストと効果を慎重に評価することが重要です。

既存システムとの統合や運用の複雑さ

既存のITシステムと新たに導入するIT資産管理システムとの統合は、技術的な課題を伴うことが多々あります。既存システムとスムーズに連携できるようにデータの整合性を保つ必要があり、そのためには高度な技術的知識と時間が必要です。

また、異なるシステム間でのデータ連携がスムーズに行えないと、業務フローの混乱を招き、結果として業務効率が低下するリスクもあります。これにより、導入プロジェクトが複雑化し、計画通りに進行しない可能性もあるため、十分な準備と計画が求められます。

IT資産管理が適切に機能しない場合のリスク

IT資産管理が適切に機能しない場合、企業はさまざまなリスクに直面します。例えば、資産が未管理のまま放置されると、使用されないハードウェアやソフトウェアが増え、資産の浪費につながります。

また、適切な管理が行われないと、セキュリティホールが見逃され、サイバー攻撃のリスクが高まる危険性もあるのです。さらに、ライセンスの更新やソフトウェアのバージョン管理が不十分だと、法的コンプライアンスに違反する可能性もあります。このように、IT資産管理の不備は、企業全体のリスクを増大させる要因となり得るため、常に管理体制の強化が必要です。

アリババクラウドの「Security Center」でセキュリティを向上させよう

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企業のセキュリティ対策において、クラウド環境の保護は重要な課題です。IT資産管理を適切に行うことで、企業は資産の可視化やコスト削減を実現できますが、さらに強化するためには、クラウド上のセキュリティも確保する必要があります。

そこで、アリババクラウドの「Security Center」は、企業のクラウド環境を包括的に守る強力なセキュリティソリューションとして活用可能です。

IT資産管理をして資産の状態をリアルタイムで把握しつつ、脅威を迅速に検知・対応することで、セキュリティリスクを最小限に抑えます。

また、コンプライアンス監査機能により、法規制の遵守も自動的に確認でき、運用の効率化とコスト削減にも貢献します。

IT資産管理を実施する際の注意点

IT資産管理を成功させるためには、いくつかの重要なポイントに注意を払う必要があります。以下に、データの正確性、関係者間のコミュニケーション、そしてセキュリティポリシーとコンプライアンスの遵守について解説します。

データの正確性と更新頻度の維持

IT資産管理においてデータの正確性は重要です。管理システムに反映される情報が正確でなければ、資産の状況を適切に把握することができず、誤った判断や対策を招く可能性があります。

例えば、古いデータが残っていると、すでに廃棄されたハードウェアや使用されていないソフトウェアが管理対象に残り、無駄なコストが発生します。したがって、データは常に最新の状態に保ち、定期的な更新作業を怠らないことが大切です。これにより、資産管理の精度が高まり、効率的な運用が可能となります。

関係者間のコミュニケーションと役割分担の明確化

IT資産管理を効果的に実施するためには、複数の部門や担当者が関与することが一般的です。そのため、関係者間のコミュニケーションを円滑にすることが成功の鍵となります。

各部門が担当する役割や責任を明確にし、誰がどの資産を管理するのかをはっきりさせることで、混乱を避け、スムーズな運用が可能です。また、定期的な会議や情報共有の場を設けることで、問題点や改善策を迅速に議論でき、全体としての管理効率が向上します。

セキュリティポリシーの徹底とコンプライアンス遵守

IT資産管理を行う際には、企業のセキュリティポリシーに基づいた運用が不可欠です。これにより、企業全体のセキュリティリスクを低減し、資産を保護できます。また、各国や地域で定められた法規制やコンプライアンス基準を遵守することも重要です。

これを怠ると、法的な問題に発展する可能性があり、企業の信用を損なうリスクもあります。定期的にポリシーや規制の見直しを行い、最新の基準に適合した運用を維持することが求められます。

IT資産管理システムを導入するためのステップ

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IT資産管理システムを効果的に導入するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。以下に、その具体的なプロセスを解説します。

導入計画の策定とプロジェクトチームの編成

まず、IT資産管理システムの導入を円滑に進めるためには、詳細な導入計画を策定することが不可欠です。計画には、導入の目的を明確にし、達成すべき目標を具体化することが含まれます。

例えば、資産の可視化を高めたいのか、コスト削減を図りたいのかによって、導入の方針や優先順位が変わります。また、予算の設定や導入スケジュールの調整も計画の重要な要素です。

次に、この計画を実行するために、専任のプロジェクトチームを編成します。IT部門はもちろん、財務部門や法務部門からの参加も重要です。各メンバーには具体的な役割と責任を割り当て、チーム内でのコミュニケーションを円滑にすることで、プロジェクトの成功を確実にします。

現状調査と資産データの収集・整理

次のステップは、企業内のすべてのIT資産に関する現状調査を行い、正確な資産データを収集・整理することです。現状調査では、企業が保有するハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器、そしてライセンスなどの詳細な情報を収集します。資産の利用状況や寿命、ライセンスの有効期限などを正確に把握するために必要です。

得られたデータは、今後の資産管理における基礎データとなります。そのため、収集したデータは一元化し、管理しやすい形式で整理することが重要です。IT資産の全体像を把握でき、無駄なコストの削減や資産の最適な運用に向けた準備が整います。

IT資産管理ツールの選定と導入

収集したデータに基づいて、企業のニーズに最も適したIT資産管理ツールを選定することが次のステップです。ツールの選定においては、機能性、コスト、操作性、サポート体制など複数の要素を総合的に評価することが求められます。

例えば、特定の機能が必要であったり、使い勝手が良いツールが求められる場合もあります。また、サポート体制がしっかりしているかどうかも重要な判断基準です。

ツールの導入は単に購入するだけでなく、企業の業務フローにどのように組み込むかを検討する必要があります。システム導入後、実際の運用で最大限の効果を発揮するために、トレーニングや試験運用を行い、ツールに対する従業員の理解を深めることも重要です。

運用体制の構築と業務プロセスの定義

IT資産管理ツールを導入した後、効果的に運用するための体制を構築します。運用体制の構築には、担当者の明確化と教育が必要です。担当者はツールの使い方だけでなく、資産管理の目的や重要性についても理解しておくべきです。さらに、ツールを使用する際の標準的な業務プロセスを定義し、全社的に共有しなければなりません。

各部門がどのように連携し、どのタイミングでどの情報を更新するかといった具体的な手順も含まれます。これにより、運用中の混乱を避け、スムーズに業務を進められるでしょう。運用体制がしっかりしていることで、資産管理の効率が向上し、企業全体のリソースを最適に配分することが可能となります。

試行運用と問題点の検証・調整

本格的な運用に入る前に、まずは試行運用を行い、システムの動作や業務プロセスに問題がないかを検証しましょう。試行運用の目的は、導入したシステムや新たに定義された業務プロセスが実際の業務に適しているかを確認することです。発見された問題点や不具合は、速やかに修正し、システムやプロセスを最適化します。

試行運用中に出てきたフィードバックは、後の運用改善に有益な情報です。システムのパフォーマンスを確認するだけでなく、ユーザーからの意見を収集してシステムをさらに改良することも重要です。これにより、最終的な導入がよりスムーズに進み、リスクを最小限に抑えられます。

本格運用開始と継続的な改善・管理

試行運用での調整が完了したら、本格的な運用を開始します。しかし、IT資産管理は単なる導入で完了するものではなく、継続的な改善と管理が不可欠です。定期的にシステムや業務プロセスをレビューし、必要に応じてアップデートや改善を行うことで、システムの効果を維持し続けることができます。

さらに、定期的な資産の再評価や、新しい技術やツールの導入を検討することも重要です。市場や技術が変化する中で、企業のニーズも進化していきます。対応するためには、常に最適な状態を保つための取り組みが求められます。継続的な改善によって、IT資産管理システムは企業の成長を支える強力な基盤となるでしょう。

資産管理をして企業のセキュリティを強化しよう

IT資産管理は、企業が資産を効率的に運用し、コスト削減を実現するだけでなく、セキュリティを強化するための重要な手段です。適切な資産管理を行うことで、すべてのIT資産を可視化し、セキュリティリスクを低減することが可能となります。

さらに、継続的な改善と管理を通じて、常に最適な状態を維持でき、結果として企業全体の安全性と効率性を高めることにつながります。IT資産管理を徹底することで、企業の競争力を強化し、持続的な成長をサポートする土台を築きましょう。